2011年4月27日水曜日

start today

堀江さんの上告棄却ハイスタ復活のニュースが駆け巡った。
一夜明けた今日、僕はブログを書き始めることにする。


あ〜また一つ夢が叶った日だった☆ sweet dreams..(∪。∪) Zzz☆less than a minute ago via TweetDeck Favorite Retweet Reply


Hi-Standardは世紀末前後の数年間を大学生として生活していた僕にとって希望だった。リアルタイムで聴き始めたのは97年の"Angry Fist"。2年後の99年に"Making the road"がリリースになり、その後、一枚のシングルを出して、ハイスタは活動を止めてしまった。

学生だった僕はハイスタに狂っていた。理由も分からずに抑えようのない衝動が湧き上がってくる、あるいはそれを自らの衝動として知覚することは今昔問わず若者の性質あるいは特権だと思うが、その頃のハイスタは僕の感情を代弁していて、僕はハイスタの一部だったような気さえしていた。

僕は誰の歌であっても歌詞を聞き取ることが苦手なので、何を歌っているのかはほとんど聞き取れなかったが、そんなこと分からなくても、何を歌っているのかは伝わってくる。音楽とは不思議なものだと思う。

ハイスタの音楽は、とにかく前へ向いていた。日常生活では、折に触れて、自分の無能力に直面していたが、それでもハイスタは励ましてくれた。お前の持っている力にも何か意味があって、それを使って良いことできるよ、がんばろうぜ、だから諦めるなお前の中の力を信じろ、そう勇気付けてくれた。






僕が大学を出るのと同時に、ハイスタは活動を止めてしまった。社会人になり、否が応もなく働いて、いつしかあの頃のキラキラした気持ちを、ずっと遠い昔の別人のことのように感じている僕がいる。それが社会だ仕方ないと言えばそれまでだ。僕は大人になって、収入を得るようになり、その代償として何かを亡くした。

それからここまでの足取りはよくわからないけど、かつてハイスタだった3人はそれぞれの活動をしていた。

ギターの横山健はレーベルの社長をしながら自分のバンドでリリースを続けた。"Making the road"のレコーディングの時にエンジニアから"very neat(カッチリしてる)!!"とプレイを賞賛されたという話があったが、なんだかんだ生活面もカッチリしてる人なんだと思う。

ベースの難波章浩はとかくファンキーでヒッピーでめちゃくちゃ繊細な人だ。その軌跡を客観的に見ちゃうと迷走としか言いようがない。ハイスタ終了初期に下北沢で"My heart feels so free"を弾き語りしてる動画があったが、頬はこけてるし髪はボサボサだし、歌も楽器もあんまり上手じゃないし、今にも噛み付きそうな捨て猫みたいな印象だった。その後、沖縄へ移住して"TYUNK"や"なんばあきひろ&宇宙船地球号"などの名義で打ち込みやクラブシーン寄りの音楽をやっていた。ここ2年くらいはパンクに戻ってきてまたベースを弾いている。どこへ向かっているのか分からない、何がしたいか分からない、とネット上ではガッカリしたファンの声も数多かった。でも僕はずっとこの人が好きだ。

ドラムの恒岡章のことはよく分からない。そもそもこの人はあんまり前に出るタイプじゃない。だから、ハイスタが終わった後も、特に目立つことなく地道に自分の生活を守ってきたんじゃないだろうかと思う。たぶんだけど、ハイスタが成り立っていたのは恒岡さんに負うところが大きい。難波はトンでるし、横山はカッチリで、そのまんまでは反対の方向へ飛び散ってしまうところを、まん中でバランス取っていたのがこの人だったのかなと思う。いるだけで周囲を安心させる徳と能力のある人なのだろう。

当然ながら、それぞれのソロワークはハイスタに及んでいない、というのがハイスタの信奉者だった僕の正直な感想だ。横山健バンドは上手なガイジンさんをズラリと揃えて実に堂々とした演奏をするけれど、魂を揺さぶるような曲を聴かせてくれるわけではない。反対に難波ソロは気持ちとかメッセージばかりが先行して空回りしてる感が拭えない。

テクニックとハートが今にも飛び散りそうなギリギリのバランスでスパークしてたのがハイスタの音楽で、だからあんなにも心に刺さったのだろう。陳腐だけれどもそんなことを思っている。

3.11以降、世界は変わってしまった。実際のところ、世界は以前からそのまんまの姿であったのだけれど、僕にはそのことが見えていなかった。変わったのは世界じゃなくて自分。

ハイスタの政治的主張といえば"Tibetan Freedom"だった。たぶん、3.11を経過して、その他大勢の私たちと同様に気が付いたんじゃないだろうかと思っている。チベットの前に、日本だったんだということに。

僕が生まれ育ったこの国で、色々と酷いことが平然と行われている。一生懸命に見ない知らない関係ないフリをしてつましく暮らしてきたけれど、もう黙っていられない。

ハイスタが立ち上がろうとしている今、僕もできることを始めたいという衝動からこのブログを始めることにした。

僕はアカデミシャンの端くれで、できることは情報の収集と整理くらいしかない。僕らの生きている現代の日本がどういう世界なのか、どういう力関係の下で動いているのか、なぜ僕らは不自由な思いをしているのか、といったトピックについて話をしていきたい。特に何かを暴いてやろうなどということはない。大抵の情報は公にされているものだが、僕らにそれらをつなげて理解する筋道が欠けているだけだ。筋道がつながらないのは、誰も思いつかないからではなく、思いついてしまわない方が色々と都合が良いという、生活上の方便である。情報の隠蔽ではなく、僕ら自身の知覚を妨害する僕ら自身の抵抗に抗ってみようと思っている。







横山健バンド:自由の代価… 打ちひしがれたイラストのジャケット


いっぽう難波ウルトラブレインは宇宙の彼方まで飛んでいきました

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