2011年5月20日金曜日

Japan the raper, and Japanese the rapee

原発のニュースを耳にすると明らかに体調が悪くなる。なぜか?

それはやり場のない怒りが湧いてきてしまうからだ。怒りはしかるべき相手に対して表明するならば有用だけれども、排出されず体内に留まるなら毒素にしかならない。




数万年規模の時間でしか分解されないプルトニウムを筆頭に種々の放射性物質を環境にばらまいていることの犯罪性はもはや言うまでもない。私たち人間が依って立つところの土を汚し、湖や川を汚し、海を汚し、そして後世の命を脅かしている。日本が発生源だからとて空気にも水にも国境はないのだから、中島みゆきが歌った小魚たちの群れのように、放射能はあらゆる境界を越えていく。仮に謝罪や償いといったことを真剣に考えようとすれば、被害をどのように見積もればよいのかすら分からない規模で広がっている。

放射能が生命に影響することは間違いない。だが、どのような量で、どのような条件下でといった定量的な知見を人類は持っていない。それを良いことに、日本政府というか、今回の件の当事者は責任の所在をウヤムヤにしようとしている。

たとえば、ICRP(国際放射線防護委員会)が「100ミリシーベルト以下では健康に影響がない」と言っているというがこれは事実を巧妙に隠した言い方だ。急性の障害は起こらないというだけで、身体への影響は残る。それは確率的な問題で、100ミリシーベルト浴びると発癌の可能性が0.5%上がる。1人の個人にとって、それはほとんど誤差の範囲に収まる数値かもしれないが、仮に首都圏の人口3000万人に占める発癌人口が0.5%増えるとしたらそれは15万人にものぼる。「癌患者が15万人増える」とすればそれは、はたして影響が残らないなどとうそぶいていられる数だろうか。

しかし、統計的には15万人程度の増減は誤差の範囲で、有意に検出することはできない。加えて、癌患者が激増したとして、恐らく、その時点で、原発問題と発癌の直接的な因果関係を証拠立てることはできない。この部分が「健康に影響がない」のチープなトリックなのだ。影響は確実にあるのだけれど、あったとしてもそれと原発メルトダウンが原因だとは立証できないと言っている。つまり、「健康に影響がない」は「影響があったとしても原発のせいだとは言えない」という意味で、国民の安全はまったく無視されている。

明らかにおかしい。気が狂っているとしか思えない。影響がないと言い出す人間も、それを真に受ける人間も、あいつら全員気が狂っているとしか考えられない。

この件に関して、私は怒り狂っている。だってそうだろう。

端的には、騙されていた!という感情だ。こちらはまだ整理がつきやすい。国は国民の生存と幸福のためのシステムだということを無邪気にも信じていた自分がバカだったというだけの話だ。

もう1つは、自分とて、この欺瞞だらけのシステムに、いつの間にか組み込まれているということに対する驚きと怒り。だから深刻なのだ。それは、私たちの考え方と暮らし方を何かしら改めなければ、政府やこの国の権力を握っている人間たちの欺瞞を糾弾して首を刎ねたとしても根本的には何も変わらないということなのだから。

この事態を目の当たりにして怒りも湧かない人を私は同じ人間だとは思わない。そんなのは、エサをもらうためだけに生きる飼いブタの態度で、尊厳も何もあったものではない。


Rage Against the Machine
Rage Against the Machine
posted with amazlet at 11.05.20
Rage Against the Machine
Sony (1992-11-12)
売り上げランキング: 32004

0 件のコメント:

コメントを投稿